失恋の続き

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 でもそれはわたしに限ったことじゃなかったらしい。入学式後のHRが終わってクラスがほどけると、友達と集まって話す女子の輪のあちこちで「時田くん」という名前が囁かれた。  そう。時田くんは誰の目で見ても本当に、ほんとーにかっこよかった。バスケをやっているからか、周りよりぽこんと頭ひとつ分くらい背が高い。みんな目敏くて、笑うとできる頬の線がかわいいことも気づいていた。  それから時田くんと同中だった子たちが「性格もいいよ」とか、「チャラくないし」とか教えてくれて、うれしいのにちょっと嫌だなって気持ちもわく。 「か、彼女は?」  誰かが思い切った質問をぶつける。たくさんの女子が息を飲んだのがわかった。 「いないよ。一年の時にちょっとつきあってたとかって聞いたけど、ほんとかどうかわかんなかったよね。すぐ別れたとか、そもそもつきあってなかったとか言ってて」 「うん、うん」  とにかく今は彼女がいないらしい。そのことに一喜一憂してしまうくらいにはもう、たくさんの女子が時田くんに注目していた。  他のクラスになった友達から時田くんのことを聞かれたし、入学三日目で告られたという噂もあっという間に広まった。ともかく女子が集まると時田くんの話が始まる。そんな感じだった。  当の時田くんはというと、ほとんど同じバスケ部の男子たちと行動していて、噂どおり彼女らしき人の影は見えない。告白の噂は後を絶たなかったけれど、そのどれもが実らなかったってことはわかった。  学年一かわいい子が告白しても玉砕したとき、誰かが言った。 「時田くん、もしかして好きな子いるのかな?」  それはおっきな、おっきな爆弾となったのか、しばらくの間、誰かが時田くんに告白したって噂は聞こえてこなかった。
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