明日の影

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 机の上に置いてある目覚まし時計が主に起きる時間を知らせてる。佳子は寝ぼけまなこで立ち上がり、目覚まし時計の頭を叩いた。そしてそのまま、よろよろとした足取りでベットに腰を下ろす。  眠たいまなこを手で拭うと、時計の針を確認した。  時計の針は否応無しに出勤の催促をする。  さて??。いつもの出勤のモードに切り替えようと支度にかかろうとしたが、どうも身体がついてこない。なんらか重たい空気がのしかかっているような具合だ。  心地よい寝心地のセミダブルのベット。愛犬と寝ることを前提に購入したゆとりの広さのなかに、黒い綿毛が微かな寝息とともに丸まっている。  ナナのためにも気力を出さなきゃ??。佳子は下腹部を押さえた。月の日か。  今まで経験したことのない生理痛であった。佳子は職場の女性から生理痛に悩んでいる話を聞かされたことがあるが、自分には関係ないと深く考えたこともなかった。それが、突然自分にも襲いかかってくるなんて……。  洗面所で軽く顔を洗い鏡を覗き込んだ。くっきりとした二重がたるみ、憂鬱な顔をした鏡の住人が空ろな目でこちらを伺っていた。  佳子は軽く化粧水を顔にあてると、肩甲骨辺りまであるストレートな髪を後ろで一括りした。     
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