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「なんか今日、嬉しそうだね?良いことでもあった?」
私の顔を覗き込んで、宇佐美さんが尋ねる。
「‥‥‥私って、そんなに顔に出てます?」
神妙な面持ちで尋ね返すと、宇佐美さんはキョトンとしてからふっと目を細める。
「まあ‥‥‥そうだね。鼻歌も歌ってたし」
「嘘!?」
思わぬ指摘に、慌てて口元を手で覆う。
顔に出るどころか、鼻歌まで歌うなんて、まるで自覚もなかった。
「ごめんなさい」
「なんで。いいじゃない。見てて面白かったし」
「うわー、恥ずかしい」
「俺はりりちゃんの嬉しそうな顔が見れて嬉しいよ」
恥ずかしさから顔を覆った指の隙間から、
その表情を覗けば、瞼を落として微笑む横顔が映る。
思わず見惚れてしまうくらい、キレイな横顔。
「そんなに見つめられると照れるなぁ」
私はどうやら、盗み見ることもままならないらしい。
「別に見つめてないですー」
気恥ずかしさを誤魔化すように唇を尖らせて言うと、ただふふっと軽い笑みが返ってくる。
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