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「りりちゃんは自己肯定感が低すぎ」 溜め息混じりにそう言うと、掴まれていた腕が解放され、今度はその手が頭の上に優しく落ちた。 「君はなにもない子なんかじゃないでしょ」 優しい手とは反対に、少し厳しい眼差しが私を諌める。 なんて反応したらいいのか分からず、口をつぐんで俯けば、頭に置かれていた手にぐっと力が入って、あっという間に彼の胸に引き寄せられていた。 「大丈夫。無理しなくても、そのままの君で」 彼はきっと、魔法使いかなんかだ。 私の凝り固まった心を、いとも簡単にほぐしてくれる。 長い間、知らず知らずのうちに自分にかけていた呪縛から、解き放してくれる。 嬉しくて、くすぐったくて、目頭が熱くなる。 「‥‥‥そういうことするから、勘違いさせるんですよ」 彼の胸元で、少し騒がしくなる自分の鼓動を感じながら、責めるようにつぶやく。 彼になのか、それとも、自分に言い聞かせているのか。 あんまりにも正直な彼の手は動揺してか、ためらいを見せて、ほんの少し、胸がぎゅっとなる。
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