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   「ほら。今日の」 ぶっきらぼうにデザートを差し出す一樹くんの顔を、黙って見上げる。 「違うから」 何か言われる前にと切り出すと、一樹くんは眉をひそめて「何が」と答える。 「宇佐美さんのこと、好きじゃないし、勘違いもしてないから」 「そんな怖い顔して言わなくても」 一樹くんは少し馬鹿にしたように鼻で笑う。 「別に、怖い顔なんて……」 その指摘に、思わず顔に手をかざして表情を隠す。 なんだか責められている気さえして、居心地の悪さを感じる。 目を合わそうとしない私に、一樹くんが戸惑うのをなんとなく感じながらも、彼を見ることができない。 「あー……別に、もう、疑ってないから。店長が目当てだとか、思ってない。だから、その……悪かったよ、ずっと。感じ悪くして」 いつになく歯切れの悪い彼の言葉に、ゆっくりと顔をあげれば、私に背を向けた一樹くんが、決まり悪そうに頭をかきながらそう言う。 「心配だったんだ。あんたが、また‥‥‥」 「一樹!これ、運んで」 一樹くんが何か続けたところに、宇佐美さんの呼びかけが重なる。 「とにかく、そういうことだから」 曖昧にそう言い残して、彼はホールへと戻っていった。
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