激甘アプローチと塩対応

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でも、聞こえてきた二人の会話が出掛けようとしていた私の足を止めた。 「沙羅の理想のタイプ? 小学生のときはなんとかってアイドルにはまってたよね? あーいう王子様系がいんじゃないの?」 「王子様ってどんな?」 「そりゃイケメンで、背も高くてスラッとスタイルも良くてキラキラで優しくて。あとお姫様しか見えてない一途さが大事だね!」 「白馬に乗った系?」 「そうそう、それそれ」 「イケメンとかキラキラとかわかんないけど、俺馬には乗れるよ。あっちにいたとき乗馬してたもん。ジュニア大会で賞もらった」 「悠君、乗馬できる子もそうそういないと思うんだけどさ、とりあえずそれ置いといてまず、これだけ確認させて?」 「んー、なに?」 「あんた自分がイケメンだって自覚ないの?」 「えっ、俺ってイケメンなの?」 「告白されたこととか絶対あるでしょ?」 「告られたらイケメン自称していいものなの?」 二人の話が気になって気になって家を出るどころか、リビングに戻ってきてしまった。 「ママもう終わり! 悠君遅刻しちゃうじゃん!」 「わっ、びっくりしたぁ! 娘が出戻ってきた」 「その言い方、悪意しかない!」 「冗談じゃーん、ねぇ悠君」 「俺のこと迎えに来てくれたんでしょ?」 「それもなんかちがーう!」 このふたりとは、どうも普通の会話ができそうにない。
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