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「沙羅? おはよ。まだ起きないでねー」
静かに開いたドアの隙間から、悠君のキレイな顔が覗いてた。
「起こしにきたんでしょ、なんで小声?」
すでに制服に着替えていた私を見て、悠君は心底がっかりした顔をした。
「うそだ! なんで起きてんの?」
「そりゃ起きるよー。ママの怒鳴り声に君達のわちゃわちゃがうるさいもん」
「沙羅はよく寝る子だったじゃん? てか、俺のドキドキとワクワクとそわそわ返せ!」
「ママに許可もらったのならどうぞ~、って胸差し出す女子がどこにいるのよっ!」
うんざりして鏡越しにちらりと悠君を一瞥した。
ガッカリした顔。
ちょっと可愛い。
でもさ。
小さいとき遊園地でソフトクリーム落っことした時と同じ顔じゃん、それ!
私の胸の価値どんだけ?
「なぁ、この手どーしてくれんだよ! 許可おりたのに!」
「宙をもみもみするんじゃない!」
「明日リベンジするからな?覚悟しててよ!?」
「だからその手やめてってば!」
これはここ最近の朝の定番で、ママも悠君もどこまで本気かわからない。
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