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「沙羅はいつまでたってもちっちゃいね」
「これから伸びるかもしれないでしょ?」
「いや、たぶん変わんないと思う」
ぐぬぅ!
ばっさり断言しやがってー!
「悠君は変わりすぎ。見た目だけ」
そう、見た目だけ!
中身は子供のまんまで私の気持ちを弄ぶデビル君!
「もしかしてさ、この見た目がダメなの?俺昔チビだったもんね」
「うん、私より全然ちっちゃかったよね。あの頃の悠君は可愛かったなぁ」
私が守ってあげなくちゃと思うほどに、頼りなくて泣き虫だった。あの頃はよかったな。
だって、同じ目線で笑い合えていたから。
「そっか、そっちのがタイプかぁ。デカいと威圧感があるってことか」
「いや、そうじゃなくて……」
そうじゃないよ。
正直に言うと、今の悠君は眩しすぎるんだ。
いや、眩しいを追い越して……まばゆい!
とは言えず、しどろもどろになると、悠君は慌てて私から離れた。
「これならどう? 遠近法」
「遠近法?」
悠君、それはアホすぎる。
「でもこれじゃ沙羅が遠すぎる……こんなとこから見てるだけなんて……いつだって近くにいたいのにすげーいや!」
どうせ冗談なんだろうけど、胸をかきむしってのたうち回って苦しんでます、彼。
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