神様がいない国。

1/3
前へ
/3ページ
次へ

神様がいない国。

神様なんて、知らない惑星。 私は死してそこを浮遊する。 炭素も酸素もチッ素も、無い。 只ぼんやり思うこと、それは、そこにはもしかすると、何かがあったかも知れないこと。 何かがある。ことだけわかった。 身の穢れを知らない少女は、そこにふわりと降りたって、 「そしたら、ここを私の世界にしても、いいのかしら。私が神様ね?」神様がいない。死んだ惑星。 なぜ、人は生きようとする? 私はかつて、美しい物を見てきた。 美しく無いものは、なぜ排除されなければならない。 分からない。 この惑星は霊力に満ち溢れている。ただ少女のみがわかった。 気持ちの良い場所だ、と、感激した。 霊力が高い者は滅びた? 気持ちが悪い、とどこかで罵られて、心に秘めていたものが、どっと溢れ出してくる。 私は、中性の、地球でいう女だ。男だったら、気持ちいいなんて、思うのかしら。 このような場所に、淫らな物をおいていけば、たちまちにして、無くなってしまう。 それは、神のいない国では、絶対の法則だ。 綺麗な、場所。少女は只、この美しい、いいえ、他人からは決して美しく見えない場所を大切にしたい、と思った。 私が神様になってもいいの? 少女は、どうやって神様になるのかがわからなかった。 神様に称号なんて無いのかもしれない。 只、なりたかったら、なれるのか、と思い、自分は呪われているのかと思った。しかし、地球という惑星では、美しい、という言葉で称賛された。 何もない世界に私がいる。 只それだけでいいんだ。 私は、死のエクスタシーを感じた。 死人は出て来なかった。 ただ、くつくつと石が笑っていた。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加