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石には霊力が宿る。
石が割れないように、そうっと持ち上げる。
魂の記憶?とでも云おうか。
「何か、見せてくれるの?」
見せて。
石には意志が宿る。
そこには、この無機質な星の隣で何とも美しい、馬頭星雲がきらきらと目まぐるしく働きながら、生きていた。
やっぱり生きることをやめてしまったこの、石ころ星には、なんの意志があったのか、ただ思うのは、なんにもない、ということの、尊さを少女は賢いので、わかっていた。
美しい、そう、美しい。
なんにもないのに。
なんにもないから、他の星々の世界があんなにも、美しく見えるのか、と思う。
ありがとう。
この石ころ惑星には、意志がない。無機質なのは、そのせいで、眠くなった。
だから、地球には、お寺があったのだろう。
私は、伽藍堂のようなきらびやかなものはいらない、と思った。
ここでなら、宇宙の塵になれる、とも思った。
私はこの何もない無機質な星を美しい星と呼んだ。
そうして、長い長い旅路がやっと、終わった。
少女の長い旅は終わった。
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