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「神様、どうか夫を助けてください」
手を合わせて祈っている三浦星(せい)。
日曜日の朝、朝食後に突然夫の隆司が倒れてしまった。
「隆司、しっかりして」
どうしていいか分からず、オロオロする星だったが、我に戻り、救急車を呼んだ。
病院に搬送された隆司は、くも膜下出血と診察されて緊急手術を受けることになった。
星と隆司が出会ったのは、サッカーの試合。お互い熱狂的なサポーター。出会った日も隣同士の席だった。星が興奮して大声ではしゃいでいた時、星の笑顔が素敵に見えたらしい。試合終了後に隆司は、星に声を掛けた。
「お茶しませんか?」
二人は喫茶店でお茶しながらお互いのことを語り、意気投合した。
そして、友人から恋人同士となり、同棲、結婚と進んでいった。幸せはずっと続いていくかに見えた。
ある日、星は体調の変化に気がついた。病院で診察を受けると妊娠3ヶ月だった。倒れる前日、星はそのことを隆司に報告しようとしたが、疲れた顔をしていたのでそのまま休ませた。
そして運命の日はやってきた。
手術室の前でひたすら成功を祈っている星。
「神様、お願いします。隆司を助けて下さい、元気になってこの子を抱かせてあげてください。父親にさせて下さい」
すると、窓から光が射してカーテンから謎の老人が現れた。
「ご主人は助かりますよ!これからはお腹の子と幸せに暮らしなさい」
その老人は、そう言ってすぐに消えた。手術室のランプが消えて、外科医が出てきた。
3年後、星は息子とサッカーの練習していた。その傍らで車椅子で笑顔で応援している隆司の姿があった。
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