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　最近のメッセージアプリには未読と既読が表示されるようになったから、そのせいで逆にコミュニケーションが円滑にいかなかったり、いざこざを生む原因になったりしているらしい。あたしからしてみれば、そんなに下らないことはないと思う。知りたくなかったり知られたくないならメールでやりとりをすればいい。だって、少し前まではそうしていたんじゃなかったっけ？　少しずつメールのやりとりが増えるごとに、件名につく「Re:」が増えていくことに優越感を感じたりしていたはずだ。単にメールが来ていないから携帯が震えないだけなのに「もしかしたら受信されていないんじゃ？」なんていう根拠のない心配をしたりなんかして。そんなやさしい時代を、どうして人々は忘れてしまったのだ。暮らしが便利になればなるほどに、人と人との間に、冷たい風が吹き抜けるのはどうしてなのだろう。

　とはいえ、そんなダメな哲学者みたいなことを、ああでもないこうでもないとこねくり回すような芸当は、あたしにはできそうもない。別に読んでいようがいなかろうが、他人には他人の都合があるんだと思っているあたしは気にしないのだ。だからメッセージアプリを使って、送りたい内容を送りたいように送って、あとは返信が返ってくるまで、携帯なんて適当にその辺に放っておく。もちろん、メッセージをいつ返すかはあたしの気分次第で決めるし、誰かに強制されても、改めるつもりはない。