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「はぁ?何言ってるのよ意味分かんない!」 これが私の常套句だ。いや、常套句というのは少しおかしいかもしれない。これを言ってしまう相手は彼奴だけなのだから。 彼奴は、同じクラスで、何故だか分からないが入学以来ずっと隣の席だ。しょっちゅう私をバカにするような事ばかり言ってくるような奴だが、彼奴の隣では、肩肘張って自分を偽る必要が無い。だから、最低野郎とは言えどもそこらの人間よりは幾分かましかもしれない。 「あのさ、付き合ってくれない。」 五時限目の予鈴が鳴った直ぐ後。眠気が漂う教室。彼奴は何の前置きもなく私にそう言った。人生で一回もそんな言葉を向けられたことがなかった私は、その言葉の衝撃に一瞬硬直してしまった。 「はぁ?何言ってるのよ意味分かんない!!」 突然すぎるし、大体私の事好きなんて有り得ないでしょ?!等々、言いたいことは滝の如く溢れ出てきたが、言葉になったのは、結局いつも言っているそれだった。 彼奴は、ぽかんとした顔をした。 まずい。確かに断り方にしては強すぎたし、咄嗟の反応で何の考えも無く言ってしまった。あまりにも酷すぎると思い、補える言葉を探そうとした。 「ごめん、主語が抜けてたね。」 「へ?」 「今週の土曜日、学級レクの景品買いに行かなきゃならないから、買い物に付き合って欲しいんだ。」 そ、そうよね。突然告白されるなんて有り得ないしね。 「あ、ごめん。誤解させちゃった?別に俺は恋愛的な意味でのお付き合いを申し込んだわけじゃないよ?勘違いさせちゃった?ごめんね?」 「あぁもう。ホントに意味分かんない!!主語ちゃんと付ける!!何でこんな誤解されやすい言葉に限って間違えるのよ、莫迦じゃないの?!」 『付き合って』って言ったら私がどんな反応するか見たかった訳じゃないよね。それを見て『可愛い』なんて、思う筈ないよね。
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