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「ねぇ、きみは何を見てるの?」 初夏の夕暮れ。窓から見える景色は茜色に染まっていた。 きみは、椅子に腰掛けて外を見ていた。 「面白いもの見える?」と聞いてみた。 「見る必要なんてないよ。何も見えないんだから。」 「空は見えないの?」 「見えるよ?でも、特に面白いことはない。退屈だよ。」 確かに、君の瞳は何を映しているわけでもないように見えた。 「この世界は複雑で理不尽なくせに退屈。」と、私は言った。 「その通りだね。」 ふたつの声は、がらんどうな教室に響いた。
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