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時の流るるはあなたと共に
いくつもの季節が私達の間を通り抜けたのだろう?
『畝宗(せしゅう)…今年で何回目の桜になるかしら?』
『この桜だけは本当にあの日と変わらず綺麗に咲いているね。』
目を細め見上げた視線から舞い散る花びらは柔らかな光と共に爾杏(じあん)と手元の小さな茶碗を優しく包んでゆく。
50年前…
小さな田舎町で私と幼馴染みの畝宗(せしゅう)は暮らしていた。家が隣同士で年も近かったため私達は兄妹の様に育ちいつも一緒で夜寝るくらいがバラバラで一緒にいることが当たり前になっていた。
お互い思春期になっても一緒にいることは変わらなかった。特に気も遣わないし、お互い言葉にしなくても長年の勘で大体何を考えているのかが分かってしまい、下手に同姓といるよりも、とても楽だった。余りにも一緒にいるのでよく周りから、からかわれるが、特に恋愛感情があるとかどうとかで見たことは一度もない。聞いてみたことはないがきっと向こうも同じ気持ちだろう?
私の町は裕福ではなく、自然と町の子供達は16歳位になるとみんな仕事をして生計に貢献していた。
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