10人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
1
別れを告げられたのは、八月の最後の日だった。
部活の帰り、住宅街の真ん中にある小さな児童公園で。
好きな子がいるんだ、と彬くんは言った。
わかった、とだけ私は答えた。
ずっと前から予感はあった。私と一緒にいても、彬くんはいつもうわの空で、あの子のことばかり見ていたから。
だから、こんな日が来ること、わかってた。
あかるい夕暮れの空に、桃色の雲が浮かんでいた。
ブランコの軋む音が響いていた。
夏が終わると思った。
最初のコメントを投稿しよう!