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「八起さん!」
音々が立ち止まって、俺を振り返った。
「ん?」
「違いますから、違うんです!」
顔を真っ赤にして泣きそうな顔で俺を見上げて訴える。
「あ?何が?」
「私は、忍さん誘惑なんてしてませんから!
忍さんなんて好きなんかじゃないですから!」
そこ気にしてたのか。叔母さんの心配してることは、
音々にしろあの従兄弟にしろ、
本当のことを知らないから問題なのだ。
音々と忍とやらは、血の繋がった本当の従兄弟かもしれないのだ。
事実を広めたくない。
でも、息子の思い入れの強さに、
秘密を守りにくくなった。
だからこそ異常なまでに音々にとの繋がりはをもちたくないのだと、
改めて感じた。
「うん。分かってるよ音々」
「わかってません!」
「やけに絡むな~」
「心配じゃないんですか?忍さんと私のこと?」
「え?」
「心配して欲しいです。
私は心配してほしいです。
だって初恋の人なんですもの」
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