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「兄様ー、何処ー?」
白衣に紅色の袴を履いたコイツは、俺の双子の妹、紫縁だ。
女で在る事、髪が長い事、瞳が紅い事を除いたら、俺と瓜二つだ。
「どうした?」
「あ、居た。」
「夢視で呼ばれたの。」
「誰にだよ…」
「んー…一杯!」
「お前な…」
「」
「僕と一緒に行くの、出ておいで。」
紫縁が声を掛けたその瞬間、黒い塊が紫縁目掛けて飛び出した。
『主人!俺を連れてけ!」
「出やがったな、馬鹿狐」
デカい躰で後ろから紫縁に抱きつき、尻尾を大きく振るコイツは紫縁と主従関係を結んだ、ストーカー馬鹿狐だ。
口を開けば、『主人、好きだ!』、『愛してる!』、『祝言してくれ!』と言う、まぁ、何つーか、語彙力の低い、哀れで愚かで可哀想な奴だ。
紫縁も紫縁で、コイツの何が気に入ったのか知らねぇけど、何で主従関係を結んだんだか。
…でもまぁ、何やかんや強いのは認めてやる。
『主人、今日は何処までだ?地獄か?高天ヶ原か?黄泉比良坂か?何処までだって、付いて行く』
人間に化けてる馬鹿狐だが、完全に人間に化ける気は無いらしく、耳と尻尾がそのままだ。
多分、その方が紫縁に撫でられると狙っての事だろう。
あざとい奴だ。
「そんな所には行かないよ、クロ。逢魔ヶ原だよ。」
馬鹿狐は紫縁に首や耳を撫で繰り回されて、幸福そうに目を閉じた。
「ギン。」
『此処に』
『
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