一期一会

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「それじゃ、ランチも食べられない」 「カード持つ、あなた」 「カードで何か食べれるのか?」 「レストラン、カード、オーケー」 「じゃあ、そこでいいよ」  仕方ない、といった口調で男は言った。私は頷いてレストランに向かう。と言っても、道路も店も混雑している。 「歩いて行こうか?」  彼の英語に私は右手を窄めて、それを掲げた。 「ウェイト!」  それと同時に言葉を発する私。男はその手を見て軽く頷く。 「それ、待てって意味なの?」 「そう、これ、待て」 「ふうん」  男は窓の外に目を向ける。私はその様子を見て安心する。  こんな変な男は放って置けばいい、そう思う気持ちと同時に、放って置いたら何か大変なことになりそうな不安がある。  爆弾や銃などの危険物は持っている気配はない。だが、何かの騒動を起こしそうな雰囲気は充分に備わっている。
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