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"Here I am"を強調する彼を、私は振り返って見た。そこにファラオは見えなくとも、威圧的な何かを感じたのは確かだ。
パンッ
途端に銃声のような乾いた音が辺りに響いて、私は体を強張らせる。それに気づいていないのか、彼は話を続ける。
「権力があってもなくても、人は孤独だ。いつの時代でも人は裏切る。だから信用できない」
「ジョン、聞いて。私は決してあなたを裏切らない」
どこかの映画で覚えた台詞を実用してみる。だが、彼は顔色一つ変えずに私を見た。
「君が欲しいのは金だろう?」
それに私は空笑う。
「お金であなたの生命……買うことができない」
「君には関係ない」
「関係ある。なぜなら私たちは出会った」
「なら、白紙に戻そう」
「いいえ。それはできない……あなたの過去のように」
男はその言葉に閉口し、窓から外を眺めた。外にはピラミッドが見えている。
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