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馬鹿な考えだと思い込んでいたそれが、さも真実であるかのように輝きを見せる。
いや、たとえ真実でなくても、ここは彼の言い分を信じてみてはどうか、という気にさせた。
そうすれば、少なくともこの状況が進展するのではないか、という一つの期待が生まれる。
私は淡い期待を胸に、彼の元に近づいた。
「私は信じる。あなたはメンカフラー」
私の声に閉じていた目を開き、こちらを見上げた。言葉がなくとも、それが疑うような目つきであったことは分かった。
「さあ、どうかな……」
謙虚にそう答えたかと思うと、彼は口を歪ませた。
「実のところ、僕にも分からない……確かめようがないからね。ただ、僕は権力者になることを恐れている。そして信仰を恐れている。理由は分からない……」
「それなら、どうして……メンカフラーだと思う?」
彼は砂地に座り込んで頭を両手で抱えた。
「つい最近、友人がピラミッドの写真を見せてきた。もちろん彼は旅の話を聞かせるつもりで僕にそれを見せた。僕はその写真を見た途端、懐かしさに身を震わせた。まるで自分の幼少期の写真を見せられたかのようだった。それがどこのピラミッドかを聞くと、彼はメンカウラー王のものだと教えてくれた」
私にも分かるように、短い文で区切った英語を彼は使っていた。話し終えて彼は顔を上げたが、その目は再び潤んでいる。
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