一期一会

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「ピラミッド、中、案内」 「いいや、大丈夫。僕はずっとここに来たかった。自分のルーツを探るために」  男は後ろのスフィンクスに視線を向けて口を閉じた。目を一度擦って、外していたサングランスを装着する。 「ルーツ?あなたはイングランドから来たと……」 「ああ。親もイングランドさ」 「なら、ここルーツ、ない」 「いいや、ある。ここに」  そう言うと男はピラミッドに目を向けた。もちろんそれだけで彼が何を言いたいのか分かった。 「ここはメンカフラー王のピラミッド。あなたの祖先、違う」 「どうしてそう言い切れる?」 「国、違う。時代、違う」  それに彼は口端を上げる。 「リインカネーション……あなた、知ってる?」 「リイン?」  彼の単語を聞き取れずに閉口する私。 「リボーンは?」 「リボン?」 「昔、生まれる、死ぬ、再び生まれる」 「ああ、分かる」 「昔、彼。今、私」  男は彼と言いながらピラミッドを指し、そのあとに自分を指した。その言葉に私は苦笑い一つ見せて返す。
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