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「クッソッ!」
男は"shit"と叫んで地面を叩いた。そんな彼に手を差し出すと、素直に掴んで立ち上がった。
「ぺッ!......口に砂入った」
「水、口、洗え」
手にしていた水で口をすすぐとペットボトルは空になった。それを見て私はリュックサックからもう一本を取り出す。
「新しい水」
彼は水を見て首を横に振る。
「もう、金が無い」
"no money."と言う彼に構わず、ボトルを彼に渡す。
「後で、払え」
彼について行く口実を作る私を、恨めしそうに見る。
「また、走るか?」
それに男は顔を揺らす。
「いや。君には勝てない……」
男は逃げることを諦めたようだった。
メンカフラーのピラミッド前に戻り、男は再び石に触れていた。時々見上げて何かを呟いているようだった。
そうしているうちにその場に座り出し、遠くを見つめ始めた。
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