第一章

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第一章

 その日、俺は出勤したら直ぐにでも高木班長に事情を説明して、ミーことロンバダ星人スリグの、地球への亡命をお願いするつもりでいた。彼が侵略者として地球に送り込まれたことは間違いない。だが、それはロンバダ星が深刻な内乱の危機を、体外侵略という形で発散し回避しようとした結果であり、事実、ロンバダ星はミーが地球に着く前に、とうとう最終戦争を引き起こし、破滅して宇宙の塵と消えてしまった。  帰るべき場所を失ったミーの落胆は激しく、放っておくと却って自暴自棄になって、何をしでかすともわからない。見かけはただの三毛猫でも、彼は数々の、地球には無いオーバーテクノロジーで武装している。だから逆に、俺は高木班長やお歴々を説得する事にも、ある程度自信があった。地球人がそんなに薄情な連中だとは、思いたくもないし、必要なら、進んで僕自身が、そのオーバーテクノロジーのお陰でヒーローに変身し、何度も地球の危機を救った事実を突きつけてやるつもりでもあった。  ところが、こう言う時に限って大事件というものは起きるもので…。     
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