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小さな手が私へと伸ばされる。
私はその手を慈しむようにそっと握りしめ、その暖かな小さな命に涙を流す。
まるで世界に頼れるものが私しかいないとでも言いたげに、小さな命は必死に私に手を伸ばす。
それもその筈だろう。この子と私以外に命は存在していない。
見渡す限りの焼け野原。
そう、世界は終わってしまったのだ。数日前、何の前触れもなくソレは起こった。
自分勝手にこの星を汚していく人間に、神様はきっと罰を与えたのだろう。
天から無数の罰が降り注ぎ、大地は割れ人間の作ったものは裁きの炎に包まれた。
神様が七日をかけて作った世界は、たった一晩でまっさらな状態に戻されてしまったのだ。
周りの人間が苦しみ、痛み、死んでいく中、私は何も出来ず、何の影響も受けず、今もこうして生きている。
何も無くなったこの世界で私は目的も無く歩いていた。
道もなく何も無い世界だった。
私はそこを七日くらい、歩いただろうか。
目の前に何もなくなったこの世界に不釣り合いなものを見つけたのだ。
ソレはまるで初めからそこにいたように、今初めて生まれ落ちたかのように、ソコに居た。
こんな終わった世界で、私は自分の目が信じられず、思わず駆け出した。
そしてソレを目にした時、自然に涙が溢れたのだ。
自分の意志とは裏腹に溢れてくる涙に、訳も分からず動揺していれば、ソレは私に小さな手を伸ばしてきた。
私はその手を取り、そして思ったのだ。
この小さな神様を守る為に私は生き残ったのだと。
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