神様

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神様

私は人間に辟易としていた。 自分勝手に自然を破壊する人間。 同族同士で殺し合いをする人間。 私の作り上げたこの美しい星にたった一つ紛れ込んだ異物。 私は人間をそんな風に思っていた。 そして私は考えた。また一から世界を作り直してしまおうと。 私は天から大量の隕石を降らせ、大地を粉々に砕き、全てを浄化の炎で焼き払った。 何もかもをまっさらな状態にして、今度はもう少し時間をかけて世界を作り直そうと、思っていたのに。 私はまた1つ間違えてしまったのだ。 私は私自身を、初めからやり直しの対象にしてしまったのだ。 全てを終わらせた世界で、私は赤ん坊となりこの世界に堕ちてしまった。 神である私の力の為、世界は見渡す限りの焼け野原。 一人で歩くことすらできない私は、このまま無様に死んでいくのか、と覚悟を決めた。 何日たったかわからないけれど、不思議と私は空腹感も覚えず、何も無い世界で未だ赤ん坊として生きていた。 若しかしたら自分勝手に世界を終わらせた私に、誰かが罰を与えたのだろうか? せめて自分の意思で動けるようになるまで、私はずっとこのままなのだろうか? 一人ぼっちには慣れていた筈なのに、どうして赤ん坊のこの姿だと耐え難い苦痛なのか、神である筈の私にはわからなかった。 人間を、一人くらい残しておけばよかった、なんて思いもしたけれど、この広い何も無い世界でその人間に会える確率なんて、と思っていた時に、ソレは聴こえた。 私の呼吸と鼓動以外の音、何も無いはずの世界で聞こえるはずの無い音。 人間の女の子が、私に近づいてきたのだ。 その子は私の傍らに膝を付き、呆然としていた。 私は無意識に、その人間に縋るように、たった一人、この世界で出会えた大嫌いな筈の人間に、 小さな自分の手を伸ばしていた。 その手を握り締めてくれるその温かさに、私は感じた事も無い安心感を覚えた。 そしてこうも思ったのだ。 彼女は若しかしたら私の神様なのかもしれない
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