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「こんなに開放的で自由な場所ではありませんでした。来客を伴う場所でも、『私達』が比較的自由に闊歩できる場所でもなかった」
「『あなたたち』は普段どこに居るの?」
「『私達』は、はっきりした場所に居る事はあまりありません。もっと狭く、薄い所に居りますし、悪くて一生出られず、長く置かれた挙句、消えていく者が多いのです」
「悲しくはないの?」
「どうなのでしょうね。そう思えるのは、ほんの一握りの、恵まれた者のみが抱ける感情かと思います」
「勿体ないね。こんなに、こんなにも美味しい紅茶が淹れられるのに」
あっという間に空になってしまったカップの縁を撫でる。美味しければすぐに飲んでしまう、飲み干せば中身はなくなる。それは道理だ。行儀が悪いですよ、店主、とたしなめられるまで、私はカップと次に出す言葉の候補をそれぞれこねくり回していた。
思案していたジャックが、静かに口を開く。
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