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「珠歩のおともだち?」
「珠歩は今いないのよ」
ぎゃあ、のぎゃ、の音が口から飛び出そうになって、なんとか留める。
目の前の影が、ふりふりと手を振った。振り返った先に居たのは、可愛らしい双子の少女。見た目は小学校低学年くらいの年齢だろうか。ロングとショートを携え、カントリーテイストの服を纏った二人は、不思議の国から飛び出してきた主人公のように思える。双子なのは穴に落ちて冒険する主人公ではなく、出迎える側の住人だった気がするけれど、例えるならば、そんな印象だ。
「……そうなの、珠歩さんのお友達」
眩いゼリー玉のような二つの目に返答すると、二人ははにかみ合いながら、私と距離を詰めてきた。突然の来客に驚いたという風でもない。純粋な好奇心と興味が、彼女達を突き動かしているらしかった。
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