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――俺達に暫くはそうやって警戒心を持ち続けるべきだ。
――俺達はあんたを探していた。
――道筋のない旅は辛いぞ。
――救える縁か。難儀だよ、本当に。
夕焼けの教室で、あの時は正体不明だった人物の言葉が、違った色合いで囁いてくる。
知識が無いという事は本当に怖い。あの時はただ不気味で、恐ろしさまで感じていたというのに、なんてことだろう。私はフードをとって、彼の表情を視るべきだったのだ。
そこにあったのは、ただ主人の命を守りたいという必死な姿。瞳は、迷いと途方にくれていたのかもしれない。従者達は姫の命を奪う事に非力だった。終わりへの旅に同行する事だけが、彼らに許された道だった。
しかし、いざ解決策と出会ってしまった時。それは姫の命と願いと、どちらを捨てるか差し迫られる時だ。
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