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「まぁたドーナツ食べてる」
休み時間。鞄のジッパーを開けていると、後ろから声をかけられる。
口の中にあった、さっくり生地のレモンドーナツに未練はなく、私、椎尾ゆらは一呑みして振り向いた。
「これもあんまり美味しくない」
「そっか」
「明介のとこのはちみつドーナツがやっぱり一番美味しいよ」
「ありがと」
ははっと笑ってから、明介は私の目元を見て、心配そうな顔をした。
「今日も寝れてないのか?」
クマ、と指摘された自分の目元には、薄いグレーの跡が残っている。
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