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朝日が差し込む気配に目を覚ます。
きちんとカップをテーブルに置けていただろうか。机に散乱していたら、箒とちりとり達が綺麗に片づけてくれているのだろうけれど。
「まだいい香りがするのになあ……」
口の中のアールグレイは、強く、優しい柑橘の味を色濃く残していた。
それが私の中に、勇気をくれる。
お姉さんがあの場所に残していたものを辿っていけば、ミセを続けていたら、きっといつかおねえさんに会える。
現実と夢の時間をつなげていれば、おねえさんを見つけられる気がする。
その思いだけは最初と変わらず、まだきちんと、私の中にあるから、
今日も、どちらの時間も生きていく。
少し寝不足なのは否めないけれど、朝日が昇った。伸びをする。
キンモクセイの甘い香りが、風に運ばれ窓からはいってくる。
文化祭一日目。制服に腕を通して、学校へと向かった。
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