Ⅲ.ようこそ、夢占い喫茶:ショコレットへ!

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そんな横で楽しそうにしている明介に、私は声をかける。 「明介はほかに行きたいところないの?」 「え?」 「文化祭。私の行きたい場所に合わせてくれてるでしょう?」 「いや、俺も楽しんでるよ。もともと、好きなものも一緒だったじゃないか。小さいころから……」 そこで言葉を小さくした明介は、私の視線に気づいて言葉を続けた。 「メディアにかかわるもの以外は、だけど」 「う、確かに流行りの歌とかテレビはわからないけど……」 あわせて言葉をしぼめてしまった私。 明介としばらく黙りあって、隣を歩く。 私たちがちょうど通りがかったお店では、酵母をつかった手作りお菓子が売られていた。 PTA主催の模擬店。ギンガムチェックのテーブルクロスに並べられた品々を横目でとらえる。 ベーグル、スコーン、パウンドケーキ……ドーナツは、置かれていないようだった。 「明介は」 ふと口にしてしまった自分に驚く。歩きながら一呼吸、うん、と返事をくれる。
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