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喫茶も順調に営業回復した事、また本当に手伝いが不要だという事を確認した後、私と明介は、この学校で一番大きな空間――大ホールを訪れていた。
晴天時、柔らかい太陽光が差し込むよう設計されたガラス張りの窓は、今は大きな暗幕でおおわれている。大きな黒い布で覆われた鳥籠の中にいるような感覚が、ほんの少しだけ心をかすめた。
「凄い人」
「流石文化祭の花形だね」
乱れなく座る人々をかき分けかきわけ辿り着いた私たちの座席は、目の前が舞台の中心。上手から下手までも見渡せる、ほとんどベストポジションといっても過言ではない席だった。
なんといっても目の前は来賓席だ。部員の家族か、学校が呼んだ来賓が座る席。
ダンス部の公演というのなら、後者ではなく、前者のような気がするけれど……。
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