Ⅲ.ようこそ、夢占い喫茶:ショコレットへ!

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「……あれ?」 明介が私と同じく前方を見つめ、目を見開いた。どうしたの、と顔をのぞき込もうとするが、明介の耳にはきっと届いていない。表情は、単なる驚愕というよりも、少量のどうして? と期待が入り混じったものだった。明介の視線をつかんで離さない、斜めすぐ前に座る人物を認める。 「うん?!」 ば、と手で口を覆う。幸い、開演前という事で付近はざわざわと賑やかで、私の声はそんなに響いていない。 視線の先には、スカーフで首元を覆う整った横顔をした青年と、その隣で彼に手帳を示しながら小声で何かを囁いている綺麗な女性がいた。 それだけならまだいい。そうではなく問題は、彼らが、最近になってとても見覚えのある人物二人だということだ。 各々願いを叶え、もう接点を持つことはないと思っていた人物。 声をなくしかけていた人気アイドルと、服に支配されていた就活生。 風倉クウヤと絵羽茶英名(えばさえな)――連日のミセの客だった二人が並んで、そこに居た。
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