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座席に熱気がこもり始めた中でふいに、一滴の水が落とされたような音が響いた。
舞台はオアシス一色。流水のような音とともに、一人の女子生徒――踊り子がスポットライトを浴びながら、優雅に手足を滑らせ、舞い始める。
「和歌月さんだ」
観客の息をのむような無音が、すごい、という言葉を代弁しているかのようだった。
まるで、天に祈る巫女のような舞。
熱気が抜かれ、水面の中にいるような感覚を、観客たちは得始めていた。
得始めていたのだが。
突如、舞台装置が大きな音を立て、爆発した。
演出か、と一瞬は声を抑えていた人々は、やがて両舞台袖を覆うのが本物の炎であることに気づき始めると、観客席各所で大きな悲鳴が上がる。
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