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やはり先程の事で、暗幕やローブに染み込んでいた夢の気配は、消え去ってしまったのだろうか。
それにしても、何故それが、学校の暗幕やこのローブに……?
長く考え込むことは出来なかった。
「こんばんは。随分と小さな占い師さん」
背後で教室の扉が閉まる音が、静かに響く。
脳と心臓がゆっくりと、けれど、静かに警鐘を鳴らしている。
まるで覚えのない男の声。
けれどその声に気をつけろ、その声の主に気をつけろ――頭の中の警鐘は私にそう告げていた。
私は警戒しながらも、その声の主に向かって、ゆっくりと振り返った。
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