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「……つまり、私がすべきことは、あなた達から逃げていろ、という事?」
「おっと、それは正しいが質問は受け付けていない。今は、というのがミソだ。俺達はあんたを探していた。その中身までは教えてくれなさそうだが……存在が確認できただけでいい。
道筋のない旅は辛いぞ。あんたは今まさにその状況だ。あんたが久礼倉 珠歩から受け継いだ力は狙われている。まずはそこを自覚して知識を蓄えろ」
「……くれぐら、しゅほ」
口先で単語を転がした私を見て、彼は単純に、驚きの表情を浮かべたかもしれない。
「あんた、名前も知らない相手からその力を受け継いだのか」
難儀だな、お互い。そう言い放つと、男はドアの方へと戻っていく。
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