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「待って!……私はただ、助けてくれたおねえさんの『夢』を叶えたいだけ。困っている人がいたら、それで救える縁に巡り合えた夜に……持ち得る力を使ってるだけ」
男は静かに振り返った、ように感じる。
「救える縁か」
難儀だよ、本当に。
その小さな言葉に滲み出ていたのは、陰りのようなものだった。
「これは、俺の為にする助言なんだけど」
引き留めようとする私の言葉は、言葉を以って制される。
「あんた達の世界では持ちえない力を使えるのは、あんただけじゃない。久礼倉珠歩の同類達はすぐ傍にいる……あの舞は、強力そうだ」
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