Ⅳ.カップに溢れる祝祭を

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「えっと、補足させてもらうけど、あたし自分の夢は諦めてないからね。あの日面接させてもらった事務所と縁あって……諸々あり、あの後から風倉くんのマネージャーをさせてもらってます。で、夕火さんは彼の妹さん。一昨日の公演と昨日のサプライズトークショーはその縁でね、行かせてもらいました」 テキパキと説明を続けるお姉さん……いや絵羽さんに、マネージャー、ずっとやっていただけるんじゃないんですか? と戸惑いながら真面目に質問を飛ばす風倉さん。最初は一緒にいるのがあまりに不自然に思えた取り合わせが、だんだん馴染んでいるように見えてきたのは、二人の性格……相性が、うまくかみ合っているからだろうか。 ではなく。 この二人がこの席にいる予感は、公演時に二人をみかけた時にしたのだけれど。じと、とその主張を視線にのせ和歌月さんに向けると、彼女は少しだけ、申し訳なさそうに肩をすくめた。 兎に角、今ここにはミセの店主と、ミセの客二人とその親類縁者のみがいる状態だった。 「一昨日の公演中。確かに舞台に火が上がった。だけどダンス部でその事を覚えていたのは、私だけだった」 和歌月さんが話し始める。
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