Ⅳ.カップに溢れる祝祭を

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「で、公演が終わった後に、お兄ちゃ……兄に、大丈夫だったかって聞かれて。兄とマネージャーの絵羽さんには火事の記憶があった。私がその事に言及したら、二人とも一斉に同じ子の顔を見たの。出口で教室の方に向かって走り出した、一人の女子生徒」 私の事だ。 「どうして椎尾さん? って思ったんだけど、二人とも教えてくれなくて。でも私もあの時、椎尾さんが、何かマントみたいなものを羽織って舞台の近くに来ていたのを見てたの。だから、ああ、椎尾さんが何かしてくれたんだなって思い至って」 二人がにちょっとだけ心あたりもあったから、当人に来てもらっちゃいました。 説明オワリ。ぱん、と手のひらを叩く和歌月さんはにっこりと笑い、私達3人を見つめている。 取り決めがあるので客だった二人からは、現時点、。 続く沈黙の中、折れたのは私だった。
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