Ⅳ.カップに溢れる祝祭を

6/28
前へ
/173ページ
次へ
やっと空になったカップに、再び熱々の珈琲がきっちり四人分注がれてから、和歌月さんが本題に入る。 「椎尾さんが引き継いだその『力』……今はそう言わせてもらうね。『力』の持ち主だった人が、私達全員が知っている名前の持ち主なんじゃないかって事が、まず確認したい事なの」 朧げだったおねえさんの表情を、一瞬、取り戻せたような気持ちに陥る。 この話題は暫く私の中でしか繰り広げられていない「物語」だった。 それが奥底から、現実の世界に一気に引き上げられる……私の日常の生活の中に、あるべき場所に連れて帰られるかのように。 私は熱くなる気持ちを抑えながら、和歌月さんの言葉の続きを待った。
/173ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加