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この時期のロングホームルームは、もっぱら文化祭の出し物についてだ。
部活動以外で残れる人は残る、参加できなかった人たちはその日の夜までに陽津子がメーリングリストを作成し随時情報を発信していた。
陽津子の手腕を筆頭に、穏やかで協力的で、もう少しいえばお祭り好きの生徒達が集まった当2-壱クラスは、それはもう楽しんで『夢占い喫茶店』の構想を練りに練っていた。
「お願い椎尾さん……店員さん、引き受けてくれないかな……?」
「……ううう」
なので、この活気ある空気を壊してしまうのは本意ではない。
ないのだけれど、この出し物に積極的に関わってはいけない気がする。
『夢』にまつわるのは、夜だけで十分なのだから。
「私、接客苦手で……」
「午後の、Cシフトの間だけでいいの! 部の公演があって……それも今、頑張って練習中なんだ」
握りこぶしをつくって笑顔ではにかむ女子生徒は、和歌月 夕火さん。
わが校の花形・ダンス部の主力部員だという彼女の踊りは、普段のふわりふわりとした雰囲気からは想像できないほど白熱的、且つ魅惑的なものだそうで、同輩や後輩内の話題で出てくることも多いそうだ。
(その名前と普段の様子から、最初は華道部や筝曲部に入っていそうだなと思っていたので、彼女がダンス部員だと知って時は少し衝撃的だった)
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