第1話 ミントの街

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 思わずわたしは目を逸らす。分かってる、何が起こってるか、嫌だ、見たくない! 「えへへ、おいしそ~!」  煙が去った後、女の子はもうそこにはいなくて。  明るく笑いながら、魔法使いの子が拾い上げたのは……紙でできた四角い箱。  そして中に入っているのは……チョコレート。大きな丸に星形に煙突に、色んな形のチョコレート。  女の子を、魔法で変えて作ったチョコレート……。  そんな、人間がお菓子になっちゃうなんて、そんなこと有る訳ない!   だけど本当だ、今更もう嘘だって言えない、これは本当なんだ、現実なんだ、夢じゃない……。 「? どうしたの? うさぎさん?」 「い、いえ、何でもないですっ……!」  俯いていたらじっと魔法使いに顔を覗かれて。深い青色の瞳は、どこまでも純粋そうに輝いていて……。 「最初はみんな上手くいかないんだから、全然気にしなくていいんだよ!」 「そ、そうですね……」  どう答えたら良いか、分からない。  本当はすぐにでも逃げたい、泣きたい、でも、そんなことをしたらきっと、わたしも、お菓子にされちゃうんだ……。
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