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思わずわたしは目を逸らす。分かってる、何が起こってるか、嫌だ、見たくない!
「えへへ、おいしそ~!」
煙が去った後、女の子はもうそこにはいなくて。
明るく笑いながら、魔法使いの子が拾い上げたのは……紙でできた四角い箱。
そして中に入っているのは……チョコレート。大きな丸に星形に煙突に、色んな形のチョコレート。
女の子を、魔法で変えて作ったチョコレート……。
そんな、人間がお菓子になっちゃうなんて、そんなこと有る訳ない!
だけど本当だ、今更もう嘘だって言えない、これは本当なんだ、現実なんだ、夢じゃない……。
「? どうしたの? うさぎさん?」
「い、いえ、何でもないですっ……!」
俯いていたらじっと魔法使いに顔を覗かれて。深い青色の瞳は、どこまでも純粋そうに輝いていて……。
「最初はみんな上手くいかないんだから、全然気にしなくていいんだよ!」
「そ、そうですね……」
どう答えたら良いか、分からない。
本当はすぐにでも逃げたい、泣きたい、でも、そんなことをしたらきっと、わたしも、お菓子にされちゃうんだ……。
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