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「それじゃ、今日の練習はここまでにしよっか! うさぎさん、おやつの時間はちょっと過ぎちゃったけど、チョコレートでも食べて元気出して!」
そう言って魔法使いはチョコレートの箱を大きく開いて、わたしに見せてくる。
「ご、ごめんなさい! その、今、お腹が、空いていなくて……ごめんなさい……」
首を横に振って、言い訳をする。駄目だ、後戻りができなくなる、それだけは駄目だ……!
「そっかあ……。それじゃ、食べたくなったらいつでも教えてね!」
だけど魔法使いはそれで納得してくれたみたいで、ちょこんとベンチに座って、意気揚々と星形のチョコレートを一つつまんで、ぱくっと口に入れて……。
「~! 甘くておいしい!」
とっても嬉しそうな顔をして、ほっぺたを押さえる。
「やっぱり、お菓子はとってもおいしいな~! ふわふわしてて、ちょっとミルクの味がして!」
にっこりと、嬉しそうに笑う魔法使い。どこまでも純粋な、笑顔。
……いつまで、続くんだろう、こんなの……。
泣きそうになりながら、魔法使いの隣にそっと腰を下ろした。
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