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……フィーが着ているローブだって、帽子だって、靴だって、元は人間だったんだ。
仲の良さそうな三人組だった。なのにフィーは、フィーは、『仲良しでお揃いの服になるなんて、素敵だね』って言いながら、女の子たちを魔法で変えて……。
それだけじゃない。
フィーのローブについているワッフルの形のアップリケだって、トランクだって、ブランケットだって、だって……それに、履いているパンツだって、全部、元は人間だったのに。
わたしが今羽織ってる、深い緑色のローブだってそうだ。ショーの時に着なきゃいけないバニーガールの衣装や、シルクハットだってそうだ。
それに……フィーの大好物の、お菓子だって……。ケーキにプリンにキャンディーに、フィーはいつも沢山の女の子を、甘い甘いお菓子に変えている……。
見た所、この世界にも普通のお菓子は有るらしいし、人間からじゃなくても、何か別の物を変化させてお菓子を作ることだってできるのに。
ただ、普通よりも甘くておいしいからっていう理由だけ。それだけでフィーは、知らない女の子をお菓子にしていて……。
なのに、それなのに、この世界の人達はそれを変だとは思わない。いつも満員の、フィーのショー。沢山の拍手。ファンレター、プレゼント……。
それどころか、フィーの魔法で動物やものに変えて欲しいって頼む人までいる。
それは、無理矢理変えられる子達の、怖がる様子と正反対。
おかしい。こんなの絶対おかしいよ……!
気が付けばまた、気分が沈んで、体が熱くなって……涙が出てきそうになっちゃっていた。
いけない。こんなところ、フィーに見られたらいけない。慌てて拭えば、ふわっとした感覚が頬を撫でる。涙のしずくは、真っ白いわたしの手の平に絡まっていて。
大きくて長い耳は今、しゅんと力なく垂れてしまっている……。
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