第一章【再始動】

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「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます!」  校長先生の挨拶から全校集会は始まった。壇上で話す校長先生。白髪混じりの髪をきっちり7対3の割合で分けたヘアースタイルがトレードマークだ。話の内容は入学式で述べた祝辞とほぼ同じ。  体育館の大きな窓から、桜の木が見えた。淡い色合いの花びらが風に踊っている。 「ねぇ。校長先生さ……この話、入学式の時にも同じこと話してなかった?」  急に左肩を叩かれ、体が跳ねあがってしまった。ビックリした……。さらに、声を掛けてきた人物の顔を見て、二度驚いた。  有名なミケランジェロの彫刻そのもの……。彫りのある目元、浮き出た鼻、薄めの唇。高身長で、茶色の髪にはゆるいパーマがかかっている。ニコッと微笑んだ顔は天使のよう。大好きな俳優さんがテレビに映る度、『この笑顔にハートを持っていかれる~!!』と絶叫する母の気持ちが今は分かる気がする。  しかし、こんなにイケメンの同級生がすぐ側にいたなんて……。  「驚かせちゃって、ごめんね」と左手を顔の前に出し、彼は謝った。 「いいえ! こちらこそ、ごめんなさい」 「君が謝ることはないよ。急に声を掛けた僕が悪いんだから」  丁寧な話し方といい、育ちも良さそう。
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