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 朝起きたらオレがいた。黒い髪の毛がバサバサで、バンダナつけて、まあまあ筋肉あって、無精ひげ残ってて、相棒のマリー曰く「いやらしい」「知性がない」「アホくさい」らしいちょっとだらしない目つきのオレ。  そのオレはいつもの剣を握るグローブのかわりにキッチンミトンつけて、スープ鍋なんか持ってる。 『おはようマリー。今日はオレが代わりに朝飯作ったんだ。食ってくれ』  『オレ』はオレが見えてないみたいに、誰かに向かってにっこり笑った。ガキくさい笑い方。オレこんな笑い方すんのか。 「おい、」 「あんまこういうことしたことねーからお前がいつもやってんのパクって作ったんだ。うまくできたと思う」 「てめえ、なんか言えよ。てかオレのことパクってんのはお前だ」 「……んな大雪が降りそうな顔しなくてもいいだろ、ほら、座ってろよ今持ってくから」  そういえば腹が減ってた。薄気味悪いっちゃあそうだが背に腹は代えられないから席について『オレ』が作った飯を食ってみる。
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