580人が本棚に入れています
本棚に追加
/234ページ
俺はブルーに扮して、後部座席に乗り込む。
「桐生会長もあの分だと…自ら蒼斗と桜さんの仲を認めて、一族たちを説得するかもな」
助手席に座る紡さんが俺に話し掛けて来た。
「それならいいんだけど」
しかし、生きて…無事に桜と一緒に夢街を出られるだろうか?
「お二人共気を引き締めてください」
運転する紘人さんが俺達に忠告した。
もうすぐ、夢街と繋がる唯一の一本橋に差し掛かる。
橋の手前には検問が設けられていた。
正面から街に入るには通行許可証が必要だった。
予め用意した偽造の通行許可証を紘人さんが手にしながら、様子を注意深く見た。
検問で立つ男性の前に車を停止させる。
俺がパワーウィンドを開けて、男性と顔を合わせた。
「ボス…お疲れ様です」
どうやら、俺をブルーに扮した賀集さんと勘違いしたよう。
紘人さんはその様子を確認して、偽造の通行許可証は見せず、車を発進させた。
最初のコメントを投稿しよう!