完全なる管理社会の中で

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ホログラムモニターに囲われた部屋の中央。 椅子に座っている長い青色の髪を編み込み、マフラーのように首元に巻いている恐ろしく目鼻立ちの整った男が、あるモニターを覗きこんでいた。 そこに写し出されているのは、一人の男が赤い光沢のある金属で作られた、日本刀のような形の高周波ブレードでエネルギー式小銃で武装している警備ロボを切り裂いている所だった。 カメラに気がつくとモニターの男はカメラに笑いかけ左手を向ける。 掌から一瞬青白い閃光が放たれた。 瞬間カメラは破壊され、モニターには白黒のノイズが走る。 それから数十秒後、扉の外が騒がしくなった。 二、三度の特徴的な銃声の後、扉が勢い良く開かれる。 それと同時に上体だけにされたロボが青い男へと飛来した。 それを眉一つ動かさずに首を傾け避けると、途中で止まれなかったロボはそのまま背後の壁へ当たり、機能を停止した。 男は足元に転がっているロボの下半身を蹴り飛ばし部屋に入ると、「よう」と青い男に片手を上げる。 青い男は青色の虹彩を光らせ、「他のエリアのデータにも該当する顔がない。貴様は何者だ? 」と疑問と投げかける。 「そりゃ姿ばれてたらまずここまで来れてねえよ。で俺が何者かだって?そうだな……」無精髭が生えている顎を触りながら少し考える素振りをすると「ナナシノ・ゴンベエっていうんだ。もしくはジョン・ドゥ。後は―――」 「……もう良い。とにかくそのブレードは立派な法律違反だ。分かっているのか? 」 「知らなかった。 とでも言えば許してくれるのか? だったら知らなかったと答えるが」無精髭は口角を上げるとブレードを肩に担ぐ。 青い男は椅子から素早く立ち上がると右手をピストルの形にし、無精髭へと向ける。 指がかちゃりと言う音と共に、花が開くようにして変形し、指先が発射口へと変わった。 発射口から赤色の光が放たれる。 その光は無精髭へと高速で迫り―――そして無精髭の眼前で消失した。 「不意打ちは感心しねぇなあ……。ほれ、返すよ」と左手を青色の男へと向ける。 キィンと言う微かな音と共に赤色の光線が放たれた。 避ける間も無く青色の男の頭が跳ねた。どさりと倒れこむ。 「これぐらいじゃくたばらねえだろ? 立てよ」無精髭はブレードを肩から離すと右手で中段に構える。 それを聞いてか青色の男は勢いよく立ち上がった。 顔半分は溶けきり、溶けた所から覗く金属製の骨格が人ではないことを物語る。
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