第1章

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 見覚えのない数字とアルファベットの入り混じったアドレス。この場合は開かないまま 他の職員へ相談することになっているが、今は蓮美しかいない。  (まぁ。開けてもばれないよね)  パソコンへの知識の浅さが招き、未読メールへとポインタが合わさり、クリックされる。 メールが開いた。  「ん?」  開いた瞬間、パソコン画面全体が真っ暗になった。電源が落ちたのかと思い、電源ランプを確認するも緑色のランプは点灯し続けている。不思議に思い、マウスを何度も押す。 何も反応が無い。画面に何も表示されない。  「えー嘘。やばい」    蓮美は焦る。ただでさえ資料作成を終えていないのだ。さらにパソコンを壊したとまでなれば、焦るのは仕方がないように思える。  ザーーーー  砂嵐が流れているかのような音に反応し、 電源ランプを見ていた眼を画面へと向ける。  画面に映像が映し出されていた。片手にカメラを構え、見たことの無い真っ暗な夜道を歩く様子が流れる。徐々に、視界の端から赤い二つのランプが見えてきた。線路を横断出来るように設置された踏切だ。動画は踏切の目の前に着くと、微動だにせずただ同じ風景を映し出している。  二分程経つと、次第に踏切の向こうから誰かが歩いて向かってくる様子が見えた。顔は俯いたまま、髪が長く全く手入れされていないことが画面越しでも分かる。背丈は170cmほどであろうか。女性特有の胸の膨らみから、 相手が女性であることが伺える。  女性は踏切まで近づくと、遮断機の黄色と黒のバーを両手で持ち上げ、線路内へと入った。そのままそこで佇んでいる。  「嘘!冗談でしょ!」  蓮美の両目はなぜか画面から離れない。離すことが出来ない。見続けることが義務であるかのようだ。  カンカンカンカン.......  電車の近づく音が聞こえる。女性に気付いたのか甲高いブレーキ音も響いてくる。  キイイイイィィィ  音が近づくと同時に電車ももう近くに来ていることが分かる。どんどん甲高い音は高くなる。瞬間、女が顔をあげ、カメラに向かいほくそ笑むと  グシャッ  肉の潰れる音が蓮美の耳に届いた。映像では速度を落とし続ける電車の側面が流れている。間に合わなかった。誰が見てもそう思える映像。そこで映像は途切れた。  真っ暗な画面が無くなり、明るい青色の見慣れた壁紙が蓮美の視界を支配する。途切れていた思考が急速に回復した。
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